004 Cover Cover Cover!

2007.08.26

イワホリ:気が付けば、ティンバランドpro.の仕事が遅れた為に国内盤が遅れたハイヴス新作、結局CDが間に合わないまま、なし崩し的に配信はスタートしてしまった今日この頃です。
アオキ:ハイヴヴヴヴヴーーーース!なジャケのあれですね。ご無沙汰してるうちに、あっという間に秋だわね。配信といえば、あんなにコツコツ貯めて10曲入りカードまで当てたCoca-Colaのキャンペーンクレジット、あっという間に使い切っちゃったなー。40曲くらいあったのに。
イワホリ:俺、まだ去年のサマソニのカード使ってないよ(期限切れ)。
アオキ:うわあ、もったいねえ!
イワホリ:というなんだかトホホな枕で始まりましたが、久々のクロストーク、お題は「カヴァー/トリビュート ソング・アルバム」です。一応タイミング的には「ユニコーン/奥田民生トリビュート発売記念」てことでいいのか?(笑)
アオキ:そうね。それと、ろっかまいべいびいこと、童謡カヴァー集の第二弾「rock for baby」のリリースにも合わせて、かな。
イワホリ:そうかそうか。自分でもなんでこんな盛り上がってるのか、とっかかりを忘れてたわ(笑)。
アオキ:あんなに「カヴァー熱、高まってきた!」とか言ってたのに。いしわたり先生に怒られるわよ!(笑)
イワホリ:テッキトーでっす!
アオキ:あ、あとですね。4月の石田ショーキチ@クアトロで"I saw the light"を聴いてニヤニヤしてたじゃないですか。
イワホリ:はいはいはい。トッド・ラングレン永遠の名曲にして、「魔法を信じられるかい?」の下敷きですね。
アオキ:結局、あの曲は石田氏のトッドへのオマージュと共にアルバム"Love Your Life"にも収録されたのですよ。で、セルフライナーで;こんなことを言っててさ。
イワホリ:『先人たちの残した名作を語り継いでいくのは当然のことだ。現代を生きるアーティストの責務とすら思う』のくだりか。…力強いですね。
アオキ:でしょ?あとはこれよ、「夜のロックスタジオ」。びっくりしたもんなー。
イワホリ:うわー、しゅげ。
アオキ:あ、見てなかった?
イワホリ:殆どテレビ見ないもので。
アオキ:メンツも、楽曲もホントに地上波とは思えないくらいでさ(番組内容の詳細はこちらで)。そんなこんなで、カヴァーソング・トリビュート企画で一席うちたいと思っていたわけですよ。
イワホリ:なるほどね。機は熟していたと。
アオキ:そそ。あと、どうしても苦言を呈したいこともあるんですが、それはまたあとで。
イワホリ:こわっ!

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イワホリ:じゃあ、事前にお題として出しておいた、アオキ/イワホリ双方のお勧め・カヴァー/トリビュートアルバム10選を挙げながら、カヴァーソングの魅力に迫っていこうと思います。
アオキ:はーい。
イワホリ:どうしようかね?お互い交互に出す?それとも10枚名前を挙げてみる?
アオキ:じゃ、せーのでどん、で出してみようか(笑)
イワホリ:ほいほい。さ、何枚被るか?(笑)

IWAHOLI's Selection

V.A / If I Were Carpenter - the Carpenters Tribute
V.A / "I Am Sam" Original Soundtrack
V.A/ Happy End Parade はっぴいえんど・トリビュート
V.A / Dive Into Disney
V.A / Japa-Rico Rico Rodriguez meets Japan
V.A / Punch The Monkey
John Lennon / Rock'N'Roll
Marc Ronson / Version
椎名林檎 / 唄い手冥利vol.1
山下達郎/On The Street Corner

AOKI's Selection

V.A / 一期一会 - trbute to Spitz
V.A / 真心COVERS
V.A / LIFE IN TOKYO - Japan to Japan
V.A / Pizzicato fiveのうたとことば
V.A / Happy End Parade - はっぴいえんど・トリビュート
V.A / Dive into Disney
V.A / EXOTIC BEATLES vol.1-3
つじあやの / COVER GIRL
クラムボン / Lover Album
Cymbals / Respects

アオキ:お、意外とかぶらないけど、変なとこかぶるなあ。
イワホリ:ああ、こんなもんか(笑)。折角だから、まずは被ったアルバムから見ていこうか。
アオキ:"Dive Into Disny" ですね。ディズニーものさは、良くも悪くも、メロディそのものが小さい頃からの体験として染み付いてる気がしない?
イワホリ:あ、そう?俺、逆なんだけど。7割くらいあーいい曲だわーって感心したっつう(笑)。
アオキ:あれ?(笑)
イワホリ:いや、流石にエレクトリカルパレード、とかは分かるけど。
アオキ:収録曲の8割くらい、日本語詞でうたえるよ。ちむちむにー、ちむちむにー、ちむちむちぇるー、きょうもたのしくおそうじさー♪とか(笑)そんなに熱心なディズニっこじゃなかったとは思うけれど。
イワホリ:すげ! でも、ディズニーってライセンスに厳しそうなイメージがあったから、ここまでくだけたものを作れたんだ、っていう感心が、最初手にしたきっかけかなあ。
アオキ:あー。確かに。アプレミディのディズニーコンピが出たものこの頃だっけ。
イワホリ:そっかな。
アオキ:readymadeのも同じ時期だ。なんかちょっとライセンスゆるくなったのかしら(笑)。
イワホリ:しかもこれ、参加アーティストがいわゆるAIRJAM系、ラウド棚にいるアーティストが多いじゃない。そのギャップもよくてさ。ほら、それこそロックフェス=幕張、ロマンス=舞浜っていう相容れなかったはずの両者を結びつけた、て意味でも意義深い。
アオキ:いい話だ(笑)。
イワホリ:今思えばユアソンもSuemithさんも出会いはここなんだよねー。カヴァー集を手に取る要素っていくつかあってさ、一つは、原曲を知っていて気になる、そしてもう一つは、カヴァーするアーティストを知っていて気になる、っていうパターンで。
アオキ:そうだねえ。例えばLIFE IN TOKYO / Japanて、音楽と人のてっしーこと市川哲史プロデュースなんだけど、未だにこのアルバムでしかJAPAN聴いた事ないんだよね。普通聴かないよ、JAPANなんて(笑)。スクーデリア目当てで買ったのだけどこのアルバムはとても好き。
イワホリ:確かにね。カヴァーのもう一つの醍醐味として、それこそ歌い継がれる歴史というか、現代のアーティストが歌うことで、元のアーティストの良さが新しく広められる、っつう。それこそ「JAPAN? 山崎さん?」みたいな人にも届くかもしれない。
アオキ:ぶはは(笑)。市川さんがJAPANにいたなんて、もうロック古代史といってもいいわよ。

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http://www.amazon.co.jp/HAPPY-PARADE~tribute-はっぴいえんど~-Hiroko-Mother/dp/B000065ENC/ref=sr_1_1/503-9412091-7557540?ie=UTF8&s=music&qid=1193034614&sr=1-1アオキ:で、もう一枚かぶったのが "Happy end Parade" ですね。これはもう、オールスターキャストでお送りします!って感じのラインナップよね。うたいても、楽曲も。
イワホリ:これは、あと、ご本人も参加してる!ていうのがポイントですね。大瀧さんにいたってはコメントのみ、というバラバラっぷりですが、オリジナルメンバー公認のもと、新しい世代に歌い継がれるのが良かったなあ。
アオキ:キセルとハリー先生なんて親子っくらい年違うものね。
イワホリ:そうそう。やっぱ、ほら、こういう形で僕らがいかに先人の素晴らしさを文章で語ったとしてもさ、やっぱり歌のよさを、曲の素晴らしさを実際に聴いてもらった方が伝わるじゃん? そっから掘る楽しみも広がっていくしさ。ロック年金としてのトリビュート!
アオキ:年金って(笑)。

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イワホリ:で、もうひとつの側面、これは特にトリビュートよりも、一人のアーティストによるカヴァーアルバムに顕著なんだけれど、ヴォーカリストとしての魅力がリアルに浮かび上がるよね。当然ハードル高いわけですよ、みんなが知ってる曲や、名曲と呼ばれるものを自分なりに演るってのは。
アオキ:どう歌うか、どうアレンジするかってのがものすごく問われるよね。
イワホリ:そうそう。バンドとして、トラックメイカーとしての力量、アイデアの問題がひとつ。それと、もっとシビアなのが、普段自分の曲を歌っているヴォーカリストが、純粋に声と歌の表現力だけにフォーカスされること。
アオキ:そういう点から言うと、つじあやののCOVER GIRLはやっぱり出色ですよ。
イワホリ:ふむふむ。矢野顕子化してるってこと?
アオキ:このアルバム、いろんな場所でウクレレ1本でレコーディングしてるの。鴨川のほとりとか、行きつけの喫茶店とか、実家とか。あっこちゃんみたいに全部オリジナルのごとく産み直すタイプってよりは、もっとシンプルで朴訥なシンガーではあるんだけどさ。自分のむき出しの歌が響くシチュエーションまで含めて、ひとつの作品にしてるのはすばらしいなあ、って。
イワホリ:ホントに口ずさむ感じっていうか、好きな曲だから歌う、ていう現象を録ってるんだね。
アオキ:うん。オリジナルだったら、ここまで欲のないあつかいはできないだろうなあ、って。
イワホリ:俺が椎名林檎のアルバムを推したのは、純粋に初めて「ああ、椎名林檎すげえ!」て思ったからでさ(笑)。凄いのは新宿系自作自演屋でもなく。
アオキ:うわ、懐かしいその肩書き(笑)。
イワホリ:SSWでもなんでもなくて、ヴォーカリスト椎名林檎が一番すごいんだ!て思い知ったというか。誤解を恐れずいえば、「無罪モラトリアム」も、もはや「群青日和」も今更再生しようとは思わないんだけれど、これはつい引っ張り出したくなる。そのくらい背負わずにただ歌ってるのがいい。作詞作曲も歌う人も一緒なのはさ、どうしても意味を求めちゃうじゃない。
アオキ:うん、そうね。聞き手にしても、歌い手にしても。
イワホリ:だから、ライブなんかでも一、二曲、カヴァー曲がセットリストに入っていると、そこはすごく、こっちも無邪気に楽しめるのがいいなって思う。
アオキ:たしかになー。カヴァーってがっついて聴かないもんね(笑)。
イワホリ:そうそう、誰も「夜もヒッパレ」で泣かないっていうさ(笑)。
アオキ:ぶはははは!
イワホリ:でもMステは妙なマジックやどるから、時々(笑)。

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アオキ:あとさ、単一アーティストのカヴァー集でなにより嬉しいのは、「あ、この曲好きなんだ?」ってのがわかることだよね。もっともシンプルな効能。元ネタガイド持って掘らなくてもいい!シンバルズのrespectsなんてまさにそうですよ。
イワホリ:歌う2万字インタビューって感じ?
アオキ:お、いいこというね。実際にCymbalsが奏でてるのは、もっとポップでおしゃれなサウンドだったから、彼らがルーツとして出したのが泥臭いUKロックだった、っていう意外性もよかったのよね。この作品があったからか、土岐さんは解散後、ぐっとジャズよりになってカヴァーの女王みたいになってますけど。
イワホリ:ジャズなんかは、より一層、オリジナルよりも、過去の名曲をいかに自分色に染めるか、の世界だからね。
アオキ:そう、まさにプレイヤーとしてどう見せるか、ってだから。
イワホリ:ジャズがルーツの一つである、スカ/レゲエなんかのジャマイカンミュージックなんかも、当然そういう側面が強いんだけどさ。Ricoのトリビュートアルバムなんかでも、純粋なリコ作曲の曲が3曲しかないという(笑)。でも、別にオリジナルだから偉い、なんていうのは幻想であってさ。…幻想っていうと語弊があるな、「自分で作って自分で歌う」っていう文化はたかだかまだ40年の歴史しかないわけで。
アオキ:確かにねー。

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アオキ:そうそう、カヴァー10選選ぶついでに、カヴァーソングに"cover"ってタグ付けしてたんだけど、一番多い曲、なんだったと思う?
イワホリ:んー、アオキライブラリで?
アオキ:うん。ホリライブラリでも案外同じ曲かもしれないよ。
イワホリ:「恋は桃色」?
アオキ:は、4曲でした。
イワホリ:「星に願いを」?
アオキ:お、言われてみればこの曲も多かったか。11曲。正解は、I want you backでしたのよ。
イワホリ:あー、なるほど。俺も挙げてるわ、"Rock Motown"で。
アオキ:小西さんがけっこう水増ししてるんだけど(笑)それこそスティールバンドからFolderまで、たっくさん。
イワホリ:ジャンルを超えて、愛されるのなー。まあ、それこそI Want You Backだって、勿論ジャクソン5のインパクトありきなんだろうけれど、作ったのはモータウンの中の人(笑)なわけなんですよ。
アオキ:そうねー。中の人どころかスコアしか残らない、や、スコアさえないけれど歌い継がれてきてたんだよね、ちょっと前までは。レコードだってまだ100年の歴史もないわけだし。
イワホリ:そうそう。だいたい、「君が代」の作詞家だって、分からないんでしょ?(笑)。
アオキ:うはは、確かに。小さい頃、音楽の教科書に「作者不詳」って書いてあるとすごくどきどきしなかった?
イワホリ:わかるわかる(笑)それでも載る凄さ、ていう。
アオキ:それだけ愛されていたような曲が、やっぱりいまでも歌い継がれる、のかなあ。

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イワホリ:うん、歌は世につれない。あと、ヒップホップや、テクノのような新しいジャンルの誕生以降生まれたカヴァーの形として、サンプリングやリミックスっていうのも見逃せないね。
アオキ:そうそう。さっきの10枚選ぶ時も、ワタクシPunch the Monkeyをいれたもんかどうか、迷ったのよ。結局アオキははずし、ホリは入れる、っていうバランス感覚のよさを発揮したわけですが(笑)。
イワホリ:ガチで選んでますからね、これ(笑)。このコンピの意義については、FPM田中はんが非常に的確なコメントを残してくれてるんで、引用するね。出典はremix'99年11月号、「90年代で一番好きな曲/ディスク」特集です。

「本来ならリミックスとは何ぞや、というところから説明しなきゃならんような、ごくごく一般の人々すらを巻き込んで、60万枚以上というバケモノみたいなセールスを上げたんだからね。藤原紀香や広末涼子も愛聴盤だ、てTVで言ってたもんなぁ(笑)」

アオキ:わあ!
イワホリ:つまり、紀香の耳は凄い!。。。て、違うか(笑)。
アオキ:そんなに売れてたのか、あれ。
イワホリ:シリーズ3枚にベスト、須永さんのミックスCDまで出たからね。日本人にとってある意味ミッキーマウス・マーチ級のポピュラリティを持つルパンを、有名無名の人が料理して、それを耳にする人がそれこそ何十万単位でいたのさ。
アオキ:このあと、オリジナルのリマスターとかも出てたよね。
イワホリ:そうそう、他のアニメソングとか、ゴジラとか特撮ものなんかでも似たような流れが起こったり、言い方悪いけど、市場を開拓した1枚だよね。
アオキ:確かに。ちょっと前の世代でいうところの「愛唱歌」みたいなものが、アニソンのなかにもたくさんあるのよね。
イワホリ:ここではあえて「アニメタル」には目を瞑りますか?(笑)
アオキ:きゃーっっ!

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イワホリ:やだなーこんなオチ(笑)。あと挙げた10枚の中で、これは特におすすめ!とか言っておきたいものはある?
アオキ:んー、やっぱりここに挙げたものって、いつまでも聴いてるだろうなあ、と思うのよね。カヴァーって、もともと好きなものが、新しい形で生み直される事でもっと好きになるんじゃないかなあ。 ま、その逆に知らないものを知ってる人が生んでくれる楽しみもあるんだけど。
イワホリ:ライナーノーツみたいだな(笑)。
アオキ:そんな思い入れをあつく語ったところで、さっき前フリした、最近のカヴァー曲集に対する怒りをぶちまけてもいいですかね(笑)。
イワホリ:あ、はい(笑) 。
アオキ:ええと、なんでもかんでもボサノヴァ風でカヴァーするの、もういい!ここ太字で!
イワホリ:あっははははは!!!いや、ボッサは悪くない(笑)。いやさー、散々語っといて、カヴァー集の功罪って、手軽に手堅く売れてしまうことなのかね…。安易なマーケティングの末路として、トホホなものも生まれるという(笑)。
アオキ:なー。個人的な思い入れとのギャップがあるのはさ、まあしょうがないんだけどさ。それにしたってメロと歌詞だけ映しとって演ってもなあ、って。
イワホリ:「重厚な「男のバラッド」をミドルテンポにして軽量化に成功。」さすがのオアシス信者としても、これはないな(笑)。
アオキ:U2は許せるのにオアシスは許せないのよねー。
イワホリ:いやでもU2もさ、「エモ・ボッサ」って(笑)。
アオキ:語義矛盾も甚だしい(笑)。
イワホリ:そりゃボノのあの添い寝絶唱はエモですけど。
アオキ:まあたしかに、あんなエモいステージはありませんよ。
イワホリ:「エモカッコいい」
アオキ:クーミン?
イワホリ:ひっでえオチ!!


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